バンデューラ(Albert Bandura)
バンデューラ
”バンデューラ(Bandura, A.)”は1925年から2021年にアメリカで活躍したカナダ人の心理学者です。
バンデューラは他者を介して社会的行動が習得される過程を実験的に研究しました。
初期にはこれを『社会的行動主義』と呼びましたが、のちに『社会的学習理論』へと発展していきます。
バンデューラは、行動を自ら実行してその結果の効果を実際に身に受けながら何かを習得していく過程を『直接学習』と呼びました。
一方で、表象機能(目の前にないことを思い浮かべること)が高度に発展している人間では、直接学習よりも他者の行動を観察することにより得られる学習の方が大部分を占めているのではないかと考えました。
バンデューラは、この他者の行動の観察により得られる学習を『観察学習』もしくは『モデリング』と呼び理解しようとしました。
また、バンデューラは『自己効力感』といった概念の提唱者としても知られています。
- 直接学習
直接学習は直接的に体験した経験をもとに成立する学習を指します。
直接学習には、”パヴロフ(Pavlov, I.P.)”の『条件反射』の研究がもとになり生み出された『レスポンデント(古典的)条件付け』の理論や、”ソーンダイク(Thorndike、E. L.)”の『試行錯誤学習』の研究がもとになり生み出された『オペラント(道具的)条件付け』の理論が相当します。
- モデリング(観察学習)
直接的に体験せずともモデルとする他者の観察や模倣によって成立する学習のことを指します。
(詳しくはこちら『モデリング(観察学習)』}- 自己効力感
自己効力感は、「このことについてなら自分はここまでできるのだ(必要なことを上手く遂行できるのだ)」といった自分の能力や可能性に対する認知のことを指します。
バンデューラはこの予期的(前もって期待する)な自己効力感が行動を動機づけたり、行動をコントロールする要因になっているのではないかと考えました。
参考・引用文献
森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.
\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。