アンナ・フロイト(Anna Freud)
アンナ・フロイト
”アンナ・フロイト(Freud, A.)”は1895年から1982年に活躍したオーストリア人の精神分析家です。
アンナ・フロイトは”フロイト(Freud, S.)”の末娘として、オーストリアのウィーンで生まれます。
教育者になった後、父親であるフロイトが創始した『精神分析』を引き継ぎ、発展させていきます。
アンナ・フロイトの功績として、『児童分析』の分野を開拓したことが挙げられます。
フロイトが創始した精神分析は主に成人を対象にしたものでしたが、アンナ・フロイトは精神分析を児童に適用することを試みました。
精神分析では治療法として『自由連想法』が用いられますが、アンナ・フロイトが確立した児童分析では治療法として『遊戯療法』を取り入れています。
また、アンナ・フロイトが残した功績には、『自我』の『防衛機制』の概念を整理したこと、『自我心理学』の基礎を築いたことなどもあります。
アンナ・フロイトは児童に対して精神分析を実践していくなかで、自我の発達という観点を取り入れながら防衛機制の概念を整理し、体系づけていくことになります。
そして、アンナ・フロイトの防衛機制の研究や、”ハルトマン(Hartmann, H)"の『自律的自我』の研究は、自我心理学の基礎となる理論となり、その発展に大きく影響を与えていくことになります。
オーストリアでの活躍の後、第二次世界大戦の影響によりイギリスのロンドンに移住することになります。
ロンドンでは、児童への精神分析の適用を巡って、”クライン(Klein, M.)”との論争が起こります。
しかし、その論争は結果的に精神分析の理論の発展や、精神分析家の地位向上に繋がっていくことになります。
参考・引用文献
森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.
日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.
横川滋章・橋爪龍太郎(2015)『生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門 22人のフロイトの後継者たち 』 乾 吉佑 (監修), 創元社.
\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。