芸術療法(art therapy)
芸術療法
『芸術療法』は、表現活動や芸術体験を通して治療や心の癒しを行う『心理療法』です。
寛解期の『統合失調症』や『うつ病』『心身症』などの『精神障害』を持つ人を治療の対象にしており、年齢層も児童期から高齢期と幅広く用いられています。
1951年にイギリスの”ヒル(Hill, A.)”が精神障害の治療に絵画を応用し、それを芸術療法と呼んだことが始まりとされています。
その後、アメリカの”ナウムブルグ(Naumburg, M.)”やスイスの”カルフ(kalff, D. M.)”らにより確立されていきます。
芸術療法は、人間が生来的にもつ心の内奥にあるものを何らかの形で表現したいという欲望を基礎にした心理療法です。
芸術療法には多くの技法があり、『絵画療法』や『音楽療法』、『箱庭療法』、『コラージュ療法』、『舞踏療法』、『詩歌療法』、『造形療法』、『心理劇』などが生み出されています。
特徴としては、ノンバ ーバル(非言語)な性質が挙げられ、言葉では表すことができない心の内奥や心的現実を作品を通して捉えることが できます。
また、言語的なコミュニケーションをもつことができない人にも利用できます。
治療場面では患者が自分の内的イメージを作品に『投影』することで、客観的に自分の内界が投影された世界を見ることができるようになります。
また、治療者がこのプロセスを観察し関わることで、患者と世界を共有することができていきます。
参考・引用文献
森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.
\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。