生物-心理-社会モデル(bio-psycho-social model)

生物-心理-社会モデル

生物-心理-社会モデル』は、1977年にアメリカの医師である”エンゲルス(Engel, G. L.)"により提唱されたモデルになります。

生物-心理-社会モデルとは、人の行動や状態、心理現象を生物学的、心理学的、社会学的な視点から捉えようとするモデルのことになります。

エンゲルスは、人間の健康や疾患には、生物学的、心理学的、社会学的な要因が複雑に絡み合い、影響し合っていることを指摘しました。
そのため、人の状態を理解するには、一つの視点からでは不十分であり、それらの視点を総合的に考慮する必要があると考え、生物-心理-社会モデルを提唱しました。

現在は、WHO(世界保健機関)もこのモデルを支持しています。

生物-心理-社会モデルでは、以下のような視点から人の状態を総合的に判断する事が必要であると考えます。

  • 生物学的な視点
    • 遺伝的な要因や身体的な状態(脳、神経、内臓)など
  • 心理学的な視点
    • パーソナリティ(性格)やその人がもつ信念、感情、思考などの内面的な要因
  • 社会学的な視点
    • 身の回りの関係や、環境、経済や社会的背景、文化、宗教など

エンゲルスは、このような生物・心理・社会の視点から、人の状態を総合的に捉えることが、深い理解に繋がり、効果的な関わり方やケア、対処法の発見に繋がっていくと考えました。

しかし、この理論に関する批判(例えば、一つの要因が強く影響しており、単一のアプローチで十分であるにも関わらず、他の視点を考慮し曖昧なアプローチになってしまうなど)もあるため、その人や状況に合わせた判断が必要になるとされています。

生物心理社会モデル
生物-心理-社会モデル

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

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この記事を書いた人

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臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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