ビューラー(Charlotte Bühler)

ビューラー

ビューラー(Bühler, C.)”は1893 年から1974年に活躍した女性の心理学者です。

ドイツで生まれ、オーストリアでウィーン大学の教授として活躍します。
その後第二次世界大戦の影響でアメリカに移り住み活動しました。

ビューラーは、”ヘッツァー(Hetzer, H.)”との共同研究により、『小児検査』と呼ばれる、1歳から6歳までの『発達検査』を開発しました。

ビューラーの発達検査では、『知能指数』を参考にした『発達指数(DQ:Developmental Quotient)』の概念が導入されています。

発達指数は、現在の発達がどのくらいの年齢かを表す『発達年齢(DA:Developmental Age)』と実際の年齢である『生活年齢(CA:Chronological Age)』の比で表されます。

発達検査では、各項目ごとに点数が割り当ててあり、その合計得点から換算表を用いて発達年齢を読み取れるようになっています。

また、ビューラーは児童期や青年期についても研究しました。

青年期の特徴的な行動として日記をつける人が多くいることから、『日記分析』を導入し、児童期や青年期の精神内界や心の発達について理解しようとしました。

また、ビューラーの功績として、『反抗期』についての理解を広げたことが挙げられます。

反抗期は親に対する反抗的な態度の時期のことで、ビューラーは『反抗期』には『第一反抗期』と『第二反抗期』があると考えました。

第一反抗期は、2歳から4歳ごろの児童期に起こるものです。
自我の芽生え、意志の現れにより、否定的態度を示すようになります。

第一反抗期の子どもは自分が何を求めているかを明確には理解しておらず、「イヤ」ということが目的となり、その理由を後から探すなどの様子が見られます。

第二反抗期は、13歳から14歳ごとの青年期に起こるものです。
自我の発達、性的衝動の活発化が進み、両親の希望や目標に対して否定的態度を示すようになります。

ビューラーはこれら二つの時期を経て、人は自我がを確立させていくと理解しました。

発達検査

発達検査は小児検査とも呼ばれ、1歳から6歳までの乳幼児の精神活動を多面的に捉えるために開発されました。

発達検査はビューラーとヘッツァーの共同研究により生み出されました。

ビューラーによる発達検査は1928年に公刊され、ヘッツァーとの共同研究による改訂版は1935年に発表されています。

1905年に考案された”ビネー(Binet, A.)”による知能検査は、学童用の者であったのに対して、ビューラーの発達検査は乳幼児を対象としています。

また、知能検査の目的が精神遅滞(現在は知的障害)の子どもとそうでない子どもを判別であったのに対し、発達検査はそれぞれの乳幼児の精神機能を多面的に理解することを目的にしています。

発達指数(DQ:Developmental Quotient)

発達指数は発達検査の結果の表示方法の一つです。
知能指数を参考に、生み出されました。

発達指数の計算式は以下のようになります。

発達指数

発達指数(DQ) = 発達年齢(DA) ÷ 生活年齢(CA) × 100

発達検査では、各項目ごとに点数が割り当ててあり、その合計得点から換算表を用いて発達年齢を読み取れるようになっています。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

この記事を書いた人

上岡晶の画像

臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA