死と再生(death and reborn)
死と再生
『死と再生』は、”ユング(Jung、C. G.)”により生み出された理論であり、『分析心理学』に組み込まれています。
死と再生とは、世界中の通過儀礼の根底にあるモチーフであり、死の体験の後に再生が訪れることを指します。
世界各地で行われる儀式は、子供が大人へと移行していくための通過儀礼として行われることが多くあります。
それらは苦痛の体験を伴う場合が多くありますが、象徴的には子どもである個人が一度死ぬことで、大人として生まれ変わるということを表します。
このようなことからユングは、新しい命の誕生や新しい自分に生まれ変わる過程では、象徴的な死や古い自分の死が体験されると考えます。
しかし、現代の社会では通過儀礼が制度として行われることが少なくなっています。
そのため、ユングは『無意識』がその『補償』として機能することで、個人に内的な通過儀礼(死と再生)を体験させ、新しい人格への変容を促していくと考えました。
また、ユングは『精神障害』の治療において、患者の死と再生のテーマは夢やファンタジーなどのイメージの世界で象徴的に表現されると考えます。
この時に象徴的に表現される死は1つの内的状能の死を表しますが、やがて再生へといたる心的変容も同時に表すとされてます。
そのため、『心理療法』は個人の心の発達にとって必要な通過儀礼(死と再生)をやり抜く場を保証するといった役割も持ち合わせると考えられています。
参考・引用文献
森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.
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\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。