散布度(dispersion)【心理学用語】心理統計学
散布度(dispersion)
『散布度』とは、データのばらつきや広がりを示す指標になります。
データがどれだけ中心からばらついているかを表し、データの分布の広がりや集中度を理解するのに役立ちます。
『散布度』の主な指標には、『範囲』、『分散』、『標準偏差』などがあります。
『範囲(range)』
『範囲』とは、データの最大値と最小値の差を示す指標になります。
例えば、テスト得点が以下のような10人の生徒の場合、
60、70、70、80、80、80、90、90、90、100
『範囲』は、最大値−最小値 = 100 − 60 = 40点になります。
このように、『範囲』は、単純で直感的に理解しやすく、データ全体の広がりを捉えるのに役立ちます。
しかし、外れ値(極端に大きいまたは小さい値)に影響を受けやすいという欠点があります。
『分散(variance)』
『分散』とは、データの各値が平均値からどれだけ離れているかを示す指標になります。
『分散』は、各データの値と『平均値』の差を二乗して平均した値です。
例えば、テスト得点が以下のような10人の生徒の場合、
60、70、70、80、80、80、90、90、90、100
- 『分散』では、まず『平均値』を計算します。
- 『平均値』=(60+70+70+80+80+80+90+90+90+100)/ 10 = 800 / 10 = 80
- 次に、各データの値と平均値の差を二乗して、その平均を計算します。
- 『分散』= ((60−80)2+(70−80)2×2+(80−80)2×3+(90−80)2×3+(100−80)2) / 10 =1300 / 10 = 130
『分散』は、130点になります。
このように、『分散』は、値が大きいほど、データが平均から離れて分散していることを意味します。
また、『標準偏差』を計算するために使用されることが多く、直接的に使用されることは少ない傾向があります。
『標準偏差(SD:standard deviation)』
『標準偏差』とは、データのばらつきの大きさを示す指標です。
『標準偏差』は『分散』の平方根の値になります。
例えば、テスト得点が以下のような10人の生徒の場合、
60、70、70、80、80、80、90、90、90、100
『標準偏差』は、√130 ≒ 11.4点になります。
このように『標準偏差』は、元の単位と同じデータの単位(例えば、点数ならば点数)で示されるため、直感的に理解しやすく、広く使用されています。
また、実務や研究でよく使用される指標であり、データのばらつきを評価する際に一般的に使用されています。