ゲーム理論(game theory)
ゲーム理論
『ゲーム理論』は、数学者の”ノイマン(Neumann, J. von)”と経済学者の”モンゲン・シュテルン(Morgenstern, O.)”によって確立された数学的理論です。
お互いに利害(利益と損失)が対立する主体を前提として、その相互依存の関係のもとでの駆け引き、結託、利益分配、交渉などの意思決定を考える理論になります。
つまり、自分と相手もしくは複数人がやり取りしている状況をゲームと見立てて、そのやり取りについて分析し、人がどのように協力関係を結んだり対立する選択をしたりするのかを理解しようとする理論です。
2人のプレイヤーの間で利害が完全に対立している『ゼロサム・ゲーム』では、最適な戦略として『ミニマックス定理』が有効であることが証明されています。
一方で、『非ゼロサムゲーム』では、プレイヤーの間での協調的、競争的な選択に従い、共栄、共貧関係が生じる『囚人のジレンマ』が有名です。
- ゼロサム・ゲーム
各プレイヤーの利益と損害の総和がゼロになるゲームのことです。
例えば、友達と勝負をして、負けた方が勝った方に100円払うなどです。
負けた方は-100円ですが、買った方は+100円になり、二人の利益と損害を足すと±0円になります。「win-lose」もしくは「lose-win」が生じるゲームのことですね。
- ミニマックス定理
想定される最大の損害が最小になるように決断を行う戦略のことです。
例えば、友達とある勝負をしたとします。
二人で〇と✕を同時に言い合うというゲームで、あらかじめ支払う金額を決めておきます。- 自分が〇、友達も〇といった場合、自分が友達に150円支払う。(自分は-150円、友達は+150円)
- 自分が〇、友達は✕といった場合、友達が自分に200円支払う。(自分は+200円、友達は-200円)
- 自分が✕、友達は〇といった場合、友達が自分に50円支払う。(自分は+50円、友達は-50円)
- 自分が✕、友達も✕といった場合、支払いはなし。(二人とも±0円)
あなたが自分の立場だとしたら〇と✕どちらを選びますか?
このルールの場合、自分の損失が一番小さいというのは0円(ミニマックス値)になった時のことです。
そのため、ミニマックス定理では、✕を選択することが有効とされています。自分が✕を選ぶことは、自分の損失を小さくするだけでなく、相手の利益を最小(『マックスミニ戦略』)にすることも意味します。
- 非ゼロサム・ゲーム
ゼロサム・ゲームとは違い、各プレイヤーの利益と損害の総和がゼロにならないゲームのことです。
一人の利益が必ずしも誰かの損失にはならないゲームのことです。ゼロサム・ゲームでは、片方に利益があると、片方に損失が生じる、「win-lose」もしくは「lose-win」の形となります。
しかし、非ゼロサム・ゲームでは、各プレイヤーの行動次第で、両方に利益が生じる「win-win」、両方に損失が生じる「lose-lose」の形になることがあります。
- 囚人のジレンマ
非ゼロサム・ゲームの代表的な理論の一つです。
自分にとって利益の大きい選択をすると、協力した場合よりも損失が増えてしまうゲーム(やり取り)となっています。
二人の容疑者に対し、警察側がある提案を行います。
各部屋に入れられ、意思疎通の出来ない二人が、それぞれ自白する選択をするか、自白しない選択をするかというものです。
(詳しくはこちら『囚人のジレンマ』)
参考・引用文献
\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。