ハルトマン(Heinz Hartmann)
ハルトマン
”ハルトマン(Hartmann, H.)”は1894年から1970年に活躍したオーストリア人の精神分析家の医師です。
ハルトマンはオーストリアのウィーンで生まれます。
オーストリアでの活躍の後、第二次世界大戦の影響によりアメリカに移住し活躍します。
ハルトマンは、”フロイト(Freud, S.)”が創始した『精神分析』理論を継承し、その修正や補足を行いました。
特に、ハルトマンは精神分析における『自我』の機能に注目しました。
精神分析における自我の機能は、社会や現実に適応するために、現実からの要求や快感原則で働く『イド(エス)』、道徳原則で働く『超自我』の働きを調整し、精神内界のバランスを維持するように働くと考えられています。
この自我の機能については、これまで現実やイド(エス)、超自我からの要求に受動的に働く側面のみが注目されていました。
しかし、ハルトマンは、自我の自律的、積極的な適応機能について注目し、『自律的自我』の概念を提唱することになります。
自律的自我は精神分析理論における自我の重要性を高め、強い位置づけを与えることになりました。
ハルトマンが提唱した自律的自我は、”アンナ・フロイト(Freud, A.)”の自我の『防衛機制』の研究と共に、『自我心理学』の基礎となる理論となり、その確立や発展に大きな影響を与えました。
参考・引用文献
森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.
日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.
横川滋章・橋爪龍太郎(2015)『生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門 22人のフロイトの後継者たち 』 乾 吉佑 (監修), 創元社.
\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。