家-木-人描画テスト(HTP:house-tree-person test)

家-木-人描画テスト(HTP)

家-木-人描画テスト(HTP)』は1948年に”バック(Buck, J. M)”により考案された『心理検査』になります。
心理検査の中では、『パーソナリティ(人格)検査』の『投映法』に分類されています。

パーソナリティ(人格)検査の目的は、被検者(検査を受ける人)のパーソナリティを明らかにし、自己理解や支援に役立てることにあります。

家-木-人描画テスト(HTP)では、被検者に「家屋」「樹木」「人物」を描いてもらい、検査者がそれを分析することでパーソナリティを明らかにしようとします。

家-木-人描画テスト(HTP)の応用として『HTPP』や『統合版HTP(S-HTP)』といった方法も開発されており、臨床で用いられています。

家-木-人描画テスト(HTP)の具体的な実施方法は以下のようになっています。

実施方法

実施前

  • 準備物(検査者)
    • B5もしくはA4の画用紙3枚
    • 鉛筆
    • 消しゴム

実施中

  • 教示(検査者→被検者)
    • 「絵が上手い下手をみる検査ではありません」
    • 「1枚目に家、2枚目に木、3枚目に人をそれぞれ描いてください」
    • 「人は全身を描いてください」
  • 実施(被験者)
    • 被検者は教示の通りに実施します。
  • 描画後(検査者→被検者)
    • PDI(post drawing interragation』を行います。

実施後

  • 解釈(検査者)
    • 全体的評価
      • 描かれた絵を直観的な印象により評価します。
    • 形式分析
      • 絵のサイズや筆圧,描線と言った絵の描かれ方に注目し、分析します。
    • 内容分析
      • それぞれの部分、例えば木であれば幹や枝、葉、地面、実が描かれているの描かれていないのか、描かれいる場合それらはどのような形状をしているかなどに注目し分析します。
  • フィードバック(検査者→被検者)
    • 検査者は検査により明らかになった被検者のパーソナリティを被検者にフィードバックし、自己理解や支援に役立てます。
    • この手続きは所属機関によって様々で、他職種から依頼があり実施した場合は、他職種へ検査結果を報告し、他職種から被験者にフィードバックする場合もあります。
    • フィードバックを行う際には、検査結果をあらかじめ心理検査所見として書面にまとめる場合も多くあります。
PDI(post drawing interragation)

被験者は全ての絵を描き終えた後に検査者より様々な質問を受ける場合があります。
これはPDIと呼ばれており、被検者の内的世界を理解するための情報を獲得するために行われます。

HTPP(house-tree-person-person)

家-木-人描画テスト(HTP)は3枚の画用紙を用意し、それぞれ1枚目に家、2枚目に木、3枚目に人を描いてもらうよう教示を行います。

しかし、HTPPでは、4枚の画用紙を用意し、4枚目の画用紙には、3枚目に描いた人とは異なる性の人物を描いてもらうよう教示を行います。

統合版HTP(S-HTP:synthetic house-tree-person)

家-木-人描画テスト(HTP)は3枚の画用紙を用意し、それぞれ1枚目に家、2枚目に木、3枚目に人を描いてもらうよう教示を行います。

しかし、S-HTPでは、1枚の画用紙を用意し、その1枚に「家屋」「樹木」「人物」を描いてもらうよう教示を行います。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

山内俊雄・鹿島晴雄編『精神・心理機能評価ハンドブック』中山書店.

この記事を書いた人

上岡晶の画像

臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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