インテーク面接(intake interview)
インテーク面接
『インテーク面接』とは、『受理面接』や『初回面接』とも呼ばれ、患者(クライエント)に対して行われる最初の面接を指します。
インテーク面接の主な目的は、カウンセリングが可能かどうか、どの方法で進めるべきか、誰が担当するのが適切かなど、クライエントにとって最良の治療方針を決定することにあります。
通常、所要時間の目安は50分程度になります。
インテーク面接で、治療者(セラピスト)が行う仕事は多岐にわたります。
まず、クライエントの『主訴』(クライエントの訴える主な問題)や、感情、身体的反応、生活背景などを丁寧に聴き取ることから始めます。
さらに、クライエントの自己理解や表現の仕方を観察しながら、問題の背景にある心理的要因を探ります。
この過程では、家族や学校などからの情報提供を得たり、『心理検査』を実施したりすることもあります。
こうした多角的な情報収集により、クライエントの状態をより深く理解することが可能になります。
さらに、セラピストはクライエントの『自我』の強さや現実検討能力(現実と非現実を区別する能力)を評価し、病態の水準を推察します。
『病態水準論』では、クライエントの状態を主に3つのカテゴリーに分類します。
比較的安定した治療が可能な『神経症』の水準、より専門的で長期的な支援が必要とされる『精神病』の水準、そしてその中間に位置する『境界例』と呼ばれる水準です。
また、一時的な情動反応による問題で、短期間の支持的カウンセリングで改善が見込まれる「一次的行動異常」というケースも含まれます。
インテーク面接が進む中で、セラピストはこれらの情報を基に『見立て』と『方針』を作成します。
この見立ては、クライエントの心理的な状態や問題の本質を整理したものを指します。
最終的に、これらの見立てと方針をクライエントやその家族に丁寧に説明し、双方の合意のもとで治療契約を結びます。
このプロセスを経て、初めて次の治療ステップに進むことが可能となります。
このようにインテーク面接は、単なる情報収集の場ではなく、クライエントとセラピストが信頼関係を築くための重要な第一歩になります。
このステップを丁寧に行うことで、クライエントにとってより適切で効果的な治療を提供する基盤が整うと考えられています。
参考・引用文献
森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.
\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。