知能指数(IQ:Intelligence Quotient)【心理学用語】臨床心理学

知能指数(IQ:Intelligence Quotient)

知能指数』は、”シュテルン(Stern, W.)”によって始めて提唱された概念です。

『知能指数』は『知能検査』の結果の表示方法の一つで、IQとも呼ばれています。

1905年に”ビネー(Binet, A.)”により考案された『知能検査』では、知能を表す年齢尺度として『精神年齢(MA:Mental Age)』と呼ばれる概念が組み込まれていました。

『精神年齢』は1908年にビネーよって生み出された概念で、検査を受けた人が標準的な発達のどの年齢段階にあるかによって知能を表す年齢尺度のことを言います。

『精神年齢』は各年齢の50%~70%の人が正答できる問題を標準問題として、どの年齢段階のものまで通過できたかで示されるものです。
そのため、実際の年齢である『生活年齢(CA:Chronological Age)』は問われませんでした。

しかし、『精神年齢』だけの表示では、個人の位置づけや、生活年齢の違う人同士の客観的な比較ができませんでした。

その不備を補うため、シュテルンは知能の程度を『精神年齢』と『生活年齢』との比で表そうとします。
そして、シュテルンの考えを”ターマン(Terman, L. M.)”が実用化し、生み出されたのが『知能指数』になります。

『知能指数』の計算式は以下のようになります。

『知能指数』

『知能指数(IQ)』=『精神年齢(MA)』÷『生活年齢(CA)』×100

『知能指数』の標準は100となっています。
そのため、100以上が標準以上、100以下が標準以下となります。

しかし、上記の計算方法では、『生活年齢』が上がると母数があがり妥当性が疑わしくなります。

そこで、『精神年齢』を用いずに、個人の知的水準を同年齢集団の平均からのズレ具合で示そうとする統計的概念が利用されるようになります。
これを『知能偏差値』または『T得点(T-score)』と呼びます。

『知能偏差値』や『T得点』で表される数値は50を中心としていますが、現在使用されているIQは100を中心としたものとなっています。
この現在IQとして使用されている100を中心とする統計的概念を『偏差知能指数と呼びます。

知能検査

1905年に”ビネー(Binet, A.)”とその弟子の”シモン(Simon, T.)”によって始めて作成されました。

19世紀のフランスでは、全員が入学する学校制度が作られていきました。

そこで問題になったのが、子どもたちの学力差です。
先天的な問題により、同年齢の子どもに追いつけない子どもたちの存在が確認されるようになりました。

このような問題を解消するために、委員会が発足し、ビネーはその委員に任命されました。
それぞれの子どもに合わせた教育を提供するために、支援の必要のある子どもと、必要のない子どもを判別する必要性に迫られました。

そこでビネーは、弟子であるシモンと協力し、子どもたちの発達の程度を量的に測定できる『知能検査』を作成するに至りました。
この検査は、『ビネー・シモン知能検査』と呼ばれています。

このように、『ビネー・シモン知能検査』は、精神遅滞(現在は知的障害)の子どもとそうでない子どもを判別し、知的な発達に遅れのみられる子ども達に特別な支援を行う目的で作成されました。

精神年齢

『精神年齢』は、1908年にビネーよって生みだされた概念です。

ビネーが作成した『知能検査』では、検査を受けた人が標準的な発達のどの年齢年齢段階にあるかによって知能を表す年齢尺度が取り入れられています。
これが『精神年齢』の考え方となっています。

『精神年齢』は各年齢の50%~70%の人が正答できる問題を標準問題として、どの年齢段階のものまで通過できたかで示されるものです。

例えば、8歳の人の問題(50%~70%が正答できる問題)は答えられるが、9歳の人の問題が解けない場合、『精神年齢』は8歳〇か月となる。

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