風景構成法(landscape montage technique)【心理学用語】臨床心理学
風景構成法(landscape montage technique)
『風景構成法』は1969年に”中井 久夫”により作成された『心理検査』になります。
『心理検査』の中では、『パーソナリティ(人格)検査』の『投映法』に分類されています。
『パーソナリティ(人格)検査』の目的は、被検者(検査を受ける人)のパーソナリティを明らかにし、自己理解や支援に役立てることにあります。
『風景構成法』では、被検者に「川」「山」「田」「道」「家」「 木」「人」「花」「動物」「石や岩」「足りないもの」の順で描いてもらい、その後彩色道具で彩色し風景として完成してもらいます。
そしてそれを検査者が分析することでパーソナリティを明らかにしようとします。
『風景構成法』は、1965年に”河合 隼雄”が日本に導入した『箱庭療法』にヒントを得て開発されました。
『風景構成法』では、『箱庭療法』を参考にし、『枠づけ法』が導入されています。
『枠づけ法』とは、治療者が患者の前で紙の周囲に枠づけをしてから描画を開始するというものです。
この枠づけにより、患者は心理的に保護される一方で、表出を強いられるといった両価性が付与されることになります。
適用範囲は6歳以上で、治療の節目に用いられることが多くあります。
『風景構成法』の具体的な実施方法は以下のようになっています。
実施方法
- 実施前
- 準備物(検査者)
- B5もしくはA4の画用紙1枚
- サインペン(『枠づけ法』を実施するため)
- ペン
- 消しゴム
- 彩色道具(クレヨン)
- 準備物(検査者)
- 実施中
- 教示(検査者→被検者)
- 「絵が上手い下手をみる検査ではありません」
- 「まず検査者が画用紙の隅に枠を描きます」
- 「そのあと画用紙に川、山、田、道、家、 木、人、花、動物、石や岩、足りないものの順で描いてください」
- 「それが終わったら彩色道具(クレヨン)で色を塗って風景を完成させてください」
- 実施(検査者、被験者)
- 検査者はサインペンで画用紙に枠をつけます。
- 被検者は教示の通りに実施します。
- 描画後(検査者、被検者)
- 2人で完成した作品を眺め自由な対話を行います。
- 教示(検査者→被検者)
- 実施後
- 解釈(検査者)
- 決められた解釈方法はなく、全体の空間構成や整合性、また項目の描かれ方やその配置、関連性、彩色のされ方、象徴的意味などに注目し分析します。
- フィードバック(検査者→被検者)
- 検査者は検査により明らかになった被検者のパーソナリティを被検者にフィードバックし、自己理解や支援に役立てます。
- この手続きは所属機関によって様々で、他職種から依頼があり実施した場合は、他職種へ検査結果を報告し、他職種から被験者にフィードバックする場合もあります。
- フィードバックを行う際には、検査結果をあらかじめ心理検査所見として書面にまとめる場合も多くあります。
- 解釈(検査者)
人物
- ”中井 久夫”
キーワード
- 『心理検査』
- 『パーソナリティ(人格)検査』
- 『投映法』
- 『風景構成法』