自己愛(narcissism)

自己愛

自己愛』は、1905年に、”フロイト(Freud, S.)”により初めて心理学の世界に導入された概念になります。

自己愛とは、自分自身を愛の対象とする心の状態を指します。

フロイトは自己愛の概念について、『自体愛』と自己愛の2つに分けて説明しようとしました。

  • 自体愛
    • 自分の身体やその一部に愛着を感じ、そこからのみ性的な快感を得ようとする心の状態を指します。
  • 自己愛
    • 自己』という統一された心的対象(存在)に対して愛着を向ける心の状態を指します。

フロイトは自己愛は、人の心の健全な発達において必ず通る一つの段階とであると考えました。
また、”コフート(Kohut, H.)”は、自己愛は人の心の中にはじめからあり、色々な感情の中心に一貫して存在するものであると考えました。

人の心の発達において、自己愛的欲求(自分が価値ある存在だと感じたいという欲求)が十分に満たされた場合、肯定的な自己評価や安定した自尊感情、自らの成長や理想を追求することに繋がっていきます。

しかし一方で、自己愛的欲求が十分に満たされない場合、自分を価値ある存在だと感じることが出来ず、過大な理想を追い求めてしまうなど自己の歪みが生じる可能性があるとされています。
そして、それにより『自己愛性パーソナリティー障害』の問題へと発展していく可能性があると考えられています。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

この記事を書いた人

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臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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