ヌミノース(numinous)

ヌミノース

ヌミノース』は、”ユング(Jung、C. G.)”が創始した『分析心理学』に組み込まれた概念になります。

ユングは、ドイツの神学者である”ルードルフ・オットー(Otto, R,)”が定義した『ヌミノーゼ(Numinöse)』を心理臨床(人の心や『精神障害』の理解とその治療)に応用し、ヌミノースと呼びました。

オットーは宗教に関する分析を行う中で、言葉にはしがたい非合理的な感情反応を「聖なるもの」と呼び理解しようとしました。
それらは、神への信仰や神聖なもの、超自然現象、神秘に触れることにより生じる感情を指します。

そしてユングはヌミノースを、理性ではとらえらることのできない、唯一それを体験したときの感情反応によってのみとらえられるものであり、人間がこれを体験するときに、根源的な畏怖や魅惑などを引き起こす超自然的な感情と考えました。

ユングはヌミノースについて、『自我』が『無意識』の力を直接的に体験するときにも生じると考えました。
そして、それらは人の心に平衡状態をもたらすだけでなく、精神障害の治療に繋がる場合もあると考えました。
このような考えに基づきユングは、宗教体験の根底にあるヌミノースの体験や人間の宗教性などを重視し、理解しようとしました。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

この記事を書いた人

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臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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