原始反射(primitive reflex)

原始反射

原始反射』は正常な新生児(生まれて間もない赤ん坊)に見られる特有の反射です。
脊髄レベルの反射が主体と考えられており、正常な新生児であれば成長(生後4.5カ月頃)とともに消失します。

原始反射は、新生児の生命の維持や神経系、運動機能の発達にとって重要な働きだと考えられています。

原始反射には、『モロー反射』『把握反射』『口唇探索反射』『吸啜(きゅうてつ)反射』『自動歩行』『緊張性頸反射』など様々な種類が確認されています。

モロー反射(moro reflex)

ドイツの”モロー(Moro, E.)”によって発見されました。

赤ん坊の背中と頭を支えて仰向けにした状態で、上体を数センチメートル上方に起こします。
そして、手で支えながら急に頭部を落下させます。
そうすると赤ん坊は両手と両足を左右対称的に、外側に伸ばし、その後ゆっくりと抱き込むような上肢の運動を行います。
この原始反射をモロー反』と言います

モロー反射は大きな音や、ベッドの振動などでも生じます。

把握反射(grasp reflex)

指を赤ん坊の小指側から手の中に入れ、手のひらを押すと、赤ん坊の全ての指が曲がり、手の中に入れた指を握りしめます。
この原始反射を把握反射と言います

把握反射は手の平と同様に足の裏でも見られます。

口唇探索反射(rooting reflex)

口唇(くちびる)や頬を指で触ると、赤ん坊は顔を触られた方向に向け、唇を突き出します。
この原始反射を口唇探索反射と言います

吸啜(きゅうてつ)反射(sucking reflex)

赤ん坊の口の中に小指などを入れると吸い付きます。
この原始反射を吸啜反射と言います

自動歩行(automatic walking)

赤ん坊の体を垂直に支え、前に傾けて足を床につけると、赤ん坊は足を交互に屈伸し歩行するような動きをします。
この原始反射を自動歩行もしくは『歩行反射』と言います

緊張性頸反射(tonic neck reflex)

仰向けで寝ころんでいる赤ん坊の顔を急に一方向に向けると、赤ん坊は顔が向いている方の手足を伸ばし、反対側を曲げます。
この原始反射を緊張性頸反射と言います。

また、ここでの赤ん坊の姿勢がフェンシングのポーズに似ていることから、緊張性頸反射による姿勢は『フェンシング肢位』とも呼ばれています。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

この記事を書いた人

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臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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