性格類型論（タイプ論）（psychological types）

2024年1月24日 2024年7月26日

上岡　晶

性格類型論（タイプ論）

『性格類型論（タイプ論）』は、”ユング（Jung、C. G.）”により生み出された理論であり、『分析心理学』に組み込まれています。

性格類型論（タイプ論）は、人のパソナリティー（人格）を理解するための理論の一つです。
人のパソナリティーを理解するための代表的な理論には『類型論』と『特性論』の二つがありますが、性格類型論（タイプ論）は類型論に該当します。

性格類型論（タイプ論）では、人のパーソナリティを根本的態度（『向性』：『外向性』と『内向性』）と、4つの心理的機能（「思考」「感情」「感覚」「直観」）から捉え理解しようとします。

性格類型論（タイプ論）では、根本的態度と心理的機能の組み合わせによって8つの類型が形成されます。
そして、8つの類型から人のパーソナリティや人の間の相互作用を理解し役立てようとします。

性格類型論（タイプ論）が想定する人のパーソナリティの根本的態度と4つの心理的機能は以下のようになっています。

根本的能度

ユングは人のパーソナリティの基本形として向性を想定し、『リビドー』の流れとして外向性と内向性の２つの方向性があると考えました。

外向性（extraversion）
- 外向性とは、外界を重視する傾向を指します。
  特徴としては外界の対象との関わりを通して考え、感じ、行動し、外界の状況を拠り所として自分自身を方向づけようとする傾向を持ちます。
内向性（introversion）
- 内向性とは、内界を重視する傾向を指します。
  特徴としては、外界の状況そのものではなく、自分が知覚した認識、見解を行動の基準とする傾向を持ちます。

心理的機能

ユングは人のエネルギーの基本的な方向性や適応の方向づけを行う機能として、4つの心理的機能を想定し、2組の対となるモデルを作りだしました。
4つの心理的機能のうち、「思考」と「感情」は合理的機能、「感覚」と「直観」を非合理的機能として分類されています。
合理的機能には価値の判断を行う機能があるとされている一方で、非合理的機能にはその機能はなく、外界の情報をどのように認識し取り入れるのかといった違いで分類されています。

「思考」（thinking）
- 「思考」は、対象が何であるのかそれが何を意味しているのかを論理的、観念的に考え判断する機能を指します。
「感情」（feeling）
- 「感情」とは、対象が快感を与えるのか不快感を与えるのかといった価値や感情レベルに基づき判断する機能を指します。
「感覚」（sensation）
- 「感覚」とは、感覚器官を通して対象の存在を認識し、あるがままの姿でとらようとする機能を指します。
「直観」（intuition）
- 「直観」とは、対象がどこから来てどこに向かっていくのかといった、対象の背景や可能性を捉えようとする機能を指します。

4つの心理的機能のうち最も発達し、個人が得意とする機能は『優越機能』と呼ばれ、その対にある未分化で個人にとって不得意な機能は『劣等機能』と呼ばれています。
そして、優越機能は強度、安定性、適応性を持つ機能であるのに対して、劣等機能は『意識』の統制を逸脱し安定性や適応性に乏しい機能になります。

しかし、優越機能と劣等機能は必ずしも対立するものではなく、優越機能の『補償』作用（補うもの）として劣等機能が機能することで、個人の人格はより高い次元へと発達していくと考えられています。

性格類型論（タイプ論）は『心理検査』にも応用されており、有名なものとして1945年の『GWT（Gray-Wheelwright test）』と1958年の『MBTI（Myers-Briggs Type Indicaton）』の2つがあります。
これらは人のパーソナリティの理解だけでなく、職業適性などの幅広い場面で用いらるようになりました。