信頼性(reliability)

信頼性

信頼性』は、心理学研究において重要な概念であり、『心理検査』や心理尺度(心を測るための物差し)の正確性を検証するために用いられます。
また、正確な心理検査や心理尺度のためには『信頼性』だけでなく『妥当性』と呼ばれる概念も重要とされています。

信頼性とは、ある測定の方法や手続きによって得られた測定結果が、正確で安定(一貫)した信頼のおけるものであるかどうかを示す指標になります。
例えば、同じ測定の方法や手続きで複数回検査を行い、その測定結果が同じであった場合、その検査は信頼性の高い検査と評価されます。

信頼性の指標には、『内的整合性』や『再テスト信頼性』、『評定者間信頼性』と呼ばれる種類があり、『折半法』や『再テスト法』、『平行テスト法』などの方法を用いて信頼性の検証を行います。

内的整合性

内的整合性は『内的一貫性』とも呼ばれています。

1つの尺度を構成する一連の質問項目が同じ構成概念や心理的作用を測定できているかどうかを表す指標になります。

内的整合性は『クロンバックのα係数』を用いて示されることが多く、0.8以上であれば内的整合性のある信頼性の高い尺度と考えられています。

再テスト信賴性

同じ測定の方法や手続きで、一定期間をおいて2度同じ検査を実施する再テスト法により表される信頼性の指標を再テスト信賴性と呼びます。

評定者間信頼性

同じ測定の方法や手続きを複数人の被検者(評定者)に行い、その一致度により表される信頼性の指標を評定者間信頼性と呼びます。

折半法

折半法は、内的整合性を測定するために用いられる方法です。

1つの尺度を構成する一連の質問項目を、2つの群に分け(折半)、その合計点や相関係数(2つの測定値の関連の強さを示す指標)を測定することにより、内的整合性を検証しようとする方法を指します。

再テスト法

再テスト法は再テスト信賴性を測定するために用いられる方法です。

同じ測定の方法や手続きで、一定期間をおいて2度同じ検査を実施することにより、再テスト信賴性を検証しようとする方法を指します。

再テスト法の問題点として、被検者が1度目の検査を行った際に検査内容や回答内容を覚えてしまい、2度目の検査に影響してしまうことが挙げられています(『学習効果』)。

平行テスト法

信頼性を検証したい一つの検査と同等の内容や難易度、構成概念の検査をもう一つ作成し、その2つの検査の相関係数から信頼性を検証しようとする方法を指します。

平行テスト法の問題点として、同等の検査を2つ作成することが非常に困難であることが挙げられています。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

岡田謙介(2015)「心理学と心理測定における信頼性について」54, p71-83, 教育心理学年報.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

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この記事を書いた人

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臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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