抵抗(resistance)

抵抗

抵抗』は、『神経症』(ストレスなどの影響により、精神が不調となり症状が出る病気)の理解と治療のために生み出された理論です。
フロイト(Freud, S.)”により生み出され、『精神分析』理論に組み込まれています。

精神分析では、神経症の発症には、思い出せない苦痛な体験や記憶が関わっていると考えます。
そして、それは苦痛な体験が『無意識』の領域に『抑圧』されている状態であると考えます。
そのため、神経症の治療は、無意識に抑圧された苦痛な体験を意識化し思い出すことにより可能なのではないかと考えます。

しかし、フロイトは神経症の治療を行っていく中で、多くの患者が苦痛な体験を思い出すまいと反応することに気づきます。
これは多くの場合、本人たちの自覚なしに行われます。

このような、記憶の想起を妨げる力を抵抗と呼び、その克服が神経症の治療になると理解しました。

また、治療中に行われる抵抗は『治療抵抗』と呼ばれており、治療中にセラピストの指示を聞かなかったり、真逆の行動をとったり、治療の進行を妨げようといった反応として現れる場合があります。

さらに、抵抗の中には『行動化(アクティング・アウト)』と呼ばれる反応もあり、面接への遅刻やキャンセルなどの無自覚の行動として現れる場合もあります。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

動画での解説はこちら

この記事を書いた人

上岡晶の画像

臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA