うつ性自己評価尺度(SDS:self-rating depression scale)

うつ性自己評価尺度(SDS)

うつ性自己評価尺度(SDS)』は、1965年に”ツァング(Zung, W. W. K.)”により作られた『質問紙法』の『心理検査』になります。
うつ病』の鑑別や重症度の測定のために利用されます。

うつ性自己評価尺度(SDS)は、被検者の自己評価により、被検者の感情、感覚、気分、意志、身体状態を測定します。

適用範囲は青年期~成人で、所用時間は約10分となっております。

うつ性自己評価尺度(SDS)の質問項目は、20項目となっています。
回答方法は、4つの選択肢(<ないかたまに><ときどき><かなりの間><ほとんどいつも>)から選ぶ4件法となっています。

うつ性自己評価尺度(SDS)は以下のような点で有効とされています。

  • 質問項目は20個のため、被検者の負担が少なく短時間で実施ができます。
  • 1週間の間の気分を具体的に尋ねる質問のため、回答がしやすいとされています。
  • 隠れたうつ病や抑うつ症状を発見できる可能性があります。
  • 定期的に実施することにより薬物療法や精神療法の効果の測定ができます。

うつ性自己評価尺度(SDS)の具体的な実施方法は以下のようになっています。

実施方法

実施前

  • 準備物(検査者)
    • うつ性自己評価尺度(SDS)の検査用紙
    • ボールペン

実施中

  • 教示(検査者→被検者)
    • 「この質問紙では、ここ一週間の気分や状態に関して質問しています。」
    • 「質問項目を読み、まったく無かった場合は<ないかたまに>に〇を、時々あった場合は<ときどき>に〇を、いつもではないけどかなり多く質問の状態であった場合は<かなりの間>に〇を、いつもそうであった場合は<ほとんどいつも>に〇をつけてください」
    • 「わからないことがあればお聞きください。」
  • 実施(被験者)
    • 被検者は教示の通りに実施します。
  • 記入後(検査者)
    • 記入漏れがないか確認します。

実施後

  • 採点
    • マニュアルに従い、結果の採点を行います。
  • 解釈(検査者)
    • 採点の結果をマニュアルに記載された判定基準と照らし合わせ、被検者の状態を判定します。
  • フィードバック(検査者→被検者)
    • 検査者は検査により明らかになった被検者の状態を被検者にフィードバックし、自己理解や支援に役立てます。
    • この手続きは所属機関によって様々で、他職種から依頼があり実施した場合は、他職種へ検査結果を報告し、他職種から被験者にフィードバックする場合もあります。
    • フィードバックを行う際には、検査結果をあらかじめ心理検査所見として書面にまとめる場合も多くあります。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

この記事を書いた人

上岡晶の画像

臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA