社会生活技能訓練(SST:social skill training)

社会生活技能訓練(SST)

社会生活技能訓練(SST)』は『行動療法』に含まれる一つの治療技法になります。
慢性の精神障害を持つ人や対人スキルの不足により人間関係に問題を抱える人などを対象に幅広く用いられている技法になります。

社会生活技能訓練(SST)は、アメリカの精神科医である”リバーマン(Liberman, R. P.)”により考案されました。

社会生活技能訓練(SST)では、対人スキルを向上し、人間関係に関する不安や生きづらさを和らげることを目指します。

また、慢性の精神障害を持つ人の中には症状により心理社会的な問題が生じている場合が多くあります。
そのため、慢性の精神障害を持つ人への社会生活技能訓練(SST)では、対人関係スキルの向上だけでなく、日常生活で必要な技術(スキル)を身に着けることも目指します。
それらは、例えば、身辺自立や服薬の継続、対人関係の構築やコミュニケーション能力の向上、職業訓練などです。

社会生活技能訓練(SST)は、リーダー、コリーダー(副リーダー)、複数人のメンバーからなる少人数のグループで行われます。
また、個別でも行うことが可能であり、参加する人の希望に合わせて選べるようになっています。

グループで行うことの利点には、直接的な関わり合いによる対人スキルの向上、不安や孤独感の減少などが挙げられます。
また、個別で行うことの利点には、より自身の抱える問題に焦点を当てられることが挙げられます。

社会生活技能訓練(SST)の実施手順や流れはある程度決められており、はじめて参加される方にとってもわかりやすい構造となっています。
社会生活技能訓練(SST)で行われることとしては、『ロールプレイ』(実際にやってみること)や、『モデリング/観察学習』、『正のフィードバック』(良かった点について本人に伝える)、『宿題』などが挙げられます。

『社会生活技能訓練(SST)』
『社会生活技能訓練(SST)』

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

この記事を書いた人

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臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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