系統的合理的再体制化(systematic rational restructuring)
系統的合理的再体制化
『系統的合理的再体制化』は、『認知行動療法』に含まれる一つの治療技法になります。
『不安障害』や恐怖反応の治療に有効とされており、"ゴールドフリード(Goldfried, M.R.)"によって提唱されました。
系統的合理的再体制化では、患者(クライエント)が、自身の置かれている状況にどのような意味付け(『ラベリング』)をしているかに注目します。
そして、患者の情緒的な不安定さや不適応的な状態は、クライエントが自己の変化を客観的に理解できず、状況を誤った形で解釈してしまうこと(「不適切なラベリング」)によって引き起こされると考えます。
そのため、この治療法では、クライエントが自身の状況をより正確に意味づける(ラベリング)方法を学習し、不適応な反応を減らすことを目指します。
系統的合理的再体制化では、その方法として以下の4つの手順をとり、クライエントの行動変容を促します。
- クライエントの持つ認知が、クライエントの情緒的な反応を引き起こしているということを認識し、理解してもらう。
- クライエント自身が不合理な信念や構えを持っていることを認識し、理解してもらう。
- クライエントの持つ不合理な信念や構えが、情緒的な不安定さや不適応的な状態をもたらしていることを認識し、理解してもらう。
- クライエントの持つ不合理な信念や構えを変容するように促す。
このような手順を踏むことにより行動の変容が促進され、治療終了後においても問題解決が容易になることが知られています。
参考・引用文献
森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.
日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.
山口正二・坂野雄二(1981)「認知的行動療法に関する最近の研究」30(1), p15-25, 千葉大学教育学部研究紀要
\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。