トークン・エコノミー(token economy)

トークン・エコノミー

トークン・エコノミー』は『行動療法』に含まれる一つの治療技法になります。
1960年から慢性の精神障害を抱える患者への治療法として用いられはじめ、現在は幅広く様々な場面で用いられています。

トークン・エコノミーでは、クライエントは自身が望む生活のために必要な行動を目標として挙げます。

そして、クライエントが望ましい行動を示した場合に、正の『強化子』であるトークン(代理貨幣)が与えられます。
トークン(代理貨幣)は特定のものと交換出来たり、特定の活動を許されたりし、二次的『強化』の役割を果たします

これらを通して、最終的に目標行動が増大していくことを目指します。

トークン・エコノミーは以下の手順で行われます。

  • クライエントが望む生活と、そのために必要な行動を検討し、決定します。
  • ①に基づき、必要な行動をリスト化します。
    また、どのような場合にトークン(代理貨幣)が与えられるかを検討し、決めます。
  • トークン(代理貨幣)と何を交換するか、また交換の時間、場所を検討し、決定します。

トークン・エコノミーは『シェイピング』と併用して行うことで効果が増大することが知られています。

また、トークン・エコノミーでは、望ましい行動にトークン(代理貨幣)を与えますが、それとは反対に望ましくない行動に対しトークン(代理貨幣)を没収する方法が併用されることがあります。
この治療技法は『レスポンス・コスト』と呼ばれています。

『トークン・エコノミー』
『トークン・エコノミー』
強化

反応(『オペラント反応』)に随伴してある刺激を与えることで、反応を増大させることを指します。

  • 正の強化』は快の刺激(好子)を与えることを指します。
  • 負の強化』は不快な刺激(嫌子)を取り去ることを指します。

(詳しくはこちら『強化』)

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

動画での解説はこちら

この記事を書いた人

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臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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