矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査:Yatabe-Guilford personality inventory)

矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)

矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)』は、”ギルフォード(Guilford, J. P.)”らの作成した3つの検査をもとに、日本の”矢田部 達郎”らが作成した『心理検査』になります。
心理検査の中では、『パーソナリティ(人格)検査』の『質問紙法』に分類されています。

パーソナリティ(人格)検査の目的は、被検者(検査を受ける人)のパーソナリティを明らかにし、自己理解や支援に役立てることにあります。

矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)は、被検者にパーソナリティに関する質問が書かれている質問紙に回答してもらい、検査者がそれを分析することでパーソナリティを明らかにしようとします。

適用範囲は小学2年生~成人で、所用時間は約30分となっております。

矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)の質問項目は、小学生用で96項目、中学生から成人用で120項目となっています。
回答方法は、3つの選択肢(<はい><いいえ><どちらでもない>)から選ぶ3件法となっています。

矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)の尺度は『内的整合性』に従っており、12の尺度で構成されています。

矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)の解釈にはまず、5つの型の判定から行われ、次に6つの因子の分析、そして12の尺度の分析を行います。

5つの型、6つの因子、12の尺度はそれぞれ以下のように分類されています。

  • 5つの型
    • 平均型(A型:average type)
    • 不安定積極型(B型:black list type)
    • 安定消極型(C型:calm type)
    • 安定積極型(D型:director type)
    • 不安定消極型(E型:eccentric type)
  • 6つの因子
    • 情緒不安定因子
      • D、C、I、N
    • 社会不適応性因子
      • O、Co、Ag
    • 活動性因子
      • Ag、G
    • 衝動性因子
      • G、R
    • 内省性因子
      • R、T
    • 主導性因子
      • A、S
  • 12の尺度
    • 抑うつ性(D:depression)
    • 回帰性傾向(C:cylic tendency)
    • 劣等感(I:inferiority feeling)
    • 神経質(N:nervouseness)
    • 客観性(O:objectivity)
    • 協調性(Co:cooperativeness)
    • 攻撃性(Ag:agreeableness)
    • 一般的活動性(G:general activity)
    • のんきさ(R:rhathymia)
    • 思考的外向(T:thinking introversion)
    • 支配性(A:ascendance)
    • 社会的外向(S:social introversion)

矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)は以下のような点で有効とされています。

  • 職場や学校など、広い範囲で利用が可能となっています。
  • 検査の所要時間は約30分と比較的短時間で実施ができます。
  • 多くの先行研究がなされており、多様な解釈が可能とされています。

矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)の具体的な実施方法は以下のようになっています。

実施方法

実施前

  • 準備物(検査者)
    • 矢田部ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)の検査用紙
    • ボールペン

実施中

  • 教示(検査者→被検者)
    • 「この検査は自分の性格傾向と行動パターンを理解するための検査です。」
    • 「質問項目を読み、あてはまる場合には<はい>に〇を、あてはまらない場合は<いいえ>に〇をつけてください」
    • 「どうしても、決められない場合は<どちらでもない>に印をつけてください。」
    • 「わからないことがあればお聞きください。」
  • 実施(被験者)
    • 被検者は教示の通りに実施します。
  • 記入後(検査者)
    • 記入漏れがないか確認します。

実施後

  • 採点
    • マニュアルに従い、結果の採点を行い、プロフィールを作成します。
  • 解釈(検査者)
    • プロフィールから、5つの型を判定します。
    • 6つの因子、12の尺度のバランスから被検者のパーソナリティを分析します。
  • フィードバック(検査者→被検者)
    • 検査者は検査により明らかになった被検者のパーソナリティを被検者にフィードバックし、自己理解や支援に役立てます。
    • この手続きは所属機関によって様々で、他職種から依頼があり実施した場合は、他職種へ検査結果を報告し、他職種から被験者にフィードバックする場合もあります。
    • フィードバックを行う際には、検査結果をあらかじめ心理検査所見として書面にまとめる場合も多くあります。
内的整合性

内的整合性は『内的一貫性』とも呼ばれています。

1つの尺度を構成する一連の質問項目が同じ構成概念や心理的作用を測定できているかどうかを表す指標になります。

内的整合性は『クロンバックのα係数』を用いて示されることが多く、0.8以上であれば内的整合性のある『信頼性』の高い尺度と考えられています。

森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.

日本心理臨床学会編(2011)『心理臨床学事典』 丸善出版.

氏原寛編(2004)『心理臨床大事典』改定版, 培風館.

この記事を書いた人

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臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho

精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。

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