マズロー(Abraham Harold Maslow)
マズロー
"マズロー(Maslow, A. H.)"は1908年から1970年に活躍したアメリカ人の心理学者です。
『人間性心理学』及び『トランスパーソナル心理学』の創始者の一人として知られています。
心理学の歴史には大きく分けて以下のような4つの勢力が存在すると考えられておりますが、人間性心理学はその第三勢力、トランスパーソナル心理学はその第四勢力に当たると考えられています。
- 第一勢力は、『精神分析』
- 第二勢力は、『行動主義心理学』
- 第三勢力は、人間性心理学
- 第四勢力は、トランスパーソナル心理学
マズローは、様々な思想家の考えに触れ、行動主義心理学、精神分析、『 対人関係論』へと関心をうつしていきます。
その中で人の病理的側面だけでなく、健康で成長へと向かう側面を重視するようになり、精神分析、行動主義心理学の両者を総合した全体的な人間理解が必要だと主張しました。
それにより生み出されたのが人間性心理学になります。
また、マズローは『欲求階層説』や『自己実現理論』の提唱者としても知られています。
欲求階層説は、心理学だけでなく経営学や看護学などの領域にも大きな影響を与えています。
さらに、マズローは晩年になり、人の成長は『自己実現』という個が限界ではなく、『自己超越』といった個を超えたレベルまで到達できると考えるようになります。
そこには、自己実現をしている人の多くが、神秘体験や至高体験といった個を超えた体験や自我意識が拡大しより大きな存在と繋がる体験をしていることが影響しているとされています。
このようなことからマズローは人間性心理学を発展させ、東洋思想やシャーマニズム、宗教的な側面などを統合したトランスパーソナル心理学生み出していきます。
参考・引用文献
森岡正芳編 (2022) 『臨床心理学中事典』野島一彦 (監修), 遠見書房.
\この記事を書いた人/
臨床心理士・公認心理師
上岡 晶
Ueoka Sho
精神科・心療内科での勤務を経て、2023年から「オンラインカウンセリングおはぎ」を開業しました。私のカウンセリングを受けてくださる方が少しでも望まれる生活を送れるように、一緒に歩んでいきたいと考えています。